短篇jpルーキーズ第3弾、参加監督対談。
『ココダケノハナシ』のDVDが発売されて、半年が経ちます。
短篇.jpルーキーズへの参加条件は「商業デビューしていないこと」でしたが、劇場公開作品でデビューしたり、プロとして映像制作の仕事を受注したり、新たなステージに立ちはじめた監督が続々と現れています。
このプロジェクトの成果のひとつ、と考えております。
今回、第3弾に参加してくださった吉村真悟(画像左)・浅野晋康両監督の対談を掲載いたします。
吉村監督は昨春から、BSフジ『Beポンキッキ』の1コーナー「もじあるき」を、レギュラーで企画・演出しています。浅野監督は、この夏、ndjc2009(文化庁委託事業 若手映画作家育成プロジェクト)に選出され、35mmのフィルム撮影による短篇映画をクランクアップしたばかりです。
短篇.jpルーキーズに参加したきっかけは?
吉村:スキップシティ映画祭で同期入賞の佐藤克則監督の紹介もあったのですが、「ダメ工房」(吉村監督が共同運営する映像制作集団)に接触がありました。
浅野:僕は、『ハヴァ、ナイスデー』を劇場公開時に観ていたり、ルーキーズ第2弾の高橋明大監督が以前からの知り合いだったり、監督作品『A DAY IN THE LIFE』主演の服部竜三郎さんが『橘くんのバカ。』に出演していたり、接点がありました。興味を持っていましたが、お誘いを受けて参加しました。
吉村:そういえば、スキップシティ映画祭やぴあ映画祭で、浅野さんとは面識がありましたね。2006年ですか?
浅野:はい。そうでしたね。チームの人たちも美大で、勢いのある監督だなと思いました。
このプロジェクトに意義を感じましたか?
吉村:それはそれは、のどから手が出るほど、ありがたいプロジェクトでした(笑)
浅野:自主映画の監督は2種類いると思うんです。「プロになりたい派」と「作品を追求したい派」。僕はどちらかというと両方ですが(笑)今回のプロジェクトで、知人や友人でない他者の言葉が入ってきたのですが、違和感はなかったです。
吉村:僕はテレビのAD出身なので、いちおう現場を知っていたのですが、助監督やADの立場から、やっと監督になったのに、やはり(他者から)いろいろ言われるんだぁと。周囲の人間の言葉は頭でわかるけど、即座に反応できなかった部分がありました。ルーキーズ第1弾の時に提出したホンは実現不可能。10分という時間のデザインも分かっていなかった。第2弾、第3弾でも同じことだった。自主の場合、「出来ました、こんだけ」という感じなので…
浅野:自主映画の場合、衝動でつくる場合が多いのでしょうが、今の僕は、それはないです。初期衝動があるとしたら、何か目的(コンペとか)があったりでしょうか。『夏を見ていた午後』は、シンラから取材を受けたきっかけで、つくったけれど、今やるとしたら、きちんと戦略的に狙いを持ってつくりたいです。
自主映画のコンペとか映画祭の賞について、どうお考えですか?
浅野:以前は、何かパワーになるような賞が欲しかったが、今はそのような賞が、実は仕事に影響を与えないこともわかりました。映画祭でプロデューサーと名刺交換をするなど、最初は何かのきっかけになるのかと思ったが、僕は営業べたなので…
吉村:僕は単純にうれしい、賞金がでれば、制作費を回収できるし…と考えていましたが、そのことで仕事に繋がるのかといえば、そうでもないこともわかった。プロのプロデューサーはよっぽどの作品でないと、自主映画を評価してくれませんね。まぁ、自分勝手につくっているわけですから。アマチュアの頃は、時間も予算もある意味無限でしたが、今は自主映画をつくる衝動もないですね。自分だけでつくってもそれ以上が見えない。制約があった方がつくりやすい、第3者が枠をもうけてくれた方が、客観性が欲しくなったのだと思います。
脚本と準備について。
吉村:ホンの大切さ、自分が撮らない場合は、やはり他人がわかるようにホンを書かないといけないんだなあ、と当たり前のことですが、痛感しました。5稿まで粘りました…
浅野:僕は2~3稿でしたか? やりたいことが固まっていたので、登場人物の数や箱も整理したり、物理的な条件も考えながら書いた感じでした。
吉村:僕は最初、箱が多すぎました。一日で撮るわけだから、箱を少なくしていく作業をしました。また高山侑子さんの移動時間があるので、さらに絞って。
浅野:キャスティングは成功していると思います。特に、佐藤貴広さんを紹介してくださって、よかったです。素晴らしかった。
吉村:ロケハンは綿密にやりました。最初に許可をもらった奥多摩の病院は時間的につらいので、西永福で何度も足を運んで交渉を重ねて、許可をもらいました。コミュニケーションがうまくいったせいか、撮影ではとても協力的でした。
浅野:僕はカフェのイメージができていたので、即決でした。オープンのシーンも、カフェの近くで土地勘のある、高橋明大監督が協力してくださり、すぐに決まりました。
撮影について。
吉村:浅野さんはカメラマンはいつも同じ人ですか?
浅野:人にお願いすることもあるし、『Catchball With ニコル』は自分で回しました。今回は『ジャーマン+雨』の平野晋吾さんにお願いしました。初対面です。
吉村:僕は、キャストと当日初対面がつらいと思ったので、スタッフはダメ工房つながりで固めました。また、画作りにこだわるので、準備に時間がとられ、役者との対話の時間がなかったが残念です。森岡龍さんは美大の学生でもあり、PFFに入賞(『つつましき生活』~PFFアワード2008)している監督でもあるのですが、今回は役者に徹していただいた感じです。映画の雑談をする余裕もありませんでした(笑)
浅野:僕もそうですよ。時間のつかい方がわからなかった。自分で時間をつくらなければだめですね。焦ってしまって。ただラストシーンは、夕焼けの時刻に間に合ったのでよかった。いいシーンが撮れたと思います。
吉村:いや、ほんと。大汗かきました。CGのこともあって、役者を型にはめざるをえなかったけど、もともと、ちょっと型にはめるタイプかもしれませんね。画作りにこだわりたいので。美大だから(笑)もうちょっと時間をつくって、キャストと話しこんで、つくりたいですね。自分の中でも、もっと納得させたかったですね。
仕上げについて。
浅野:吉村さんのはCGがあったので、それがいちばん驚いた。
吉村:まあ、それがあったから採用されたそうです(笑)よくある自主映画のトーンで終わりたくなかったこともありますが、やはり仕上げは時間がかかりました。何度もやりなおしたので、身内からは「これまでつくった作品で、はじめて訳が分からない部分がなかった」という評価です。ま、今回はまとまったねという感想もありましたが…
浅野:僕のは、役者がよかったね、という声が多かった。悪い印象の人は僕に直接言わないのもわかっているけど(笑)全体的にはいい印象をもってもらっています。
次回作、これからの展望は?
吉村:共同で運営している「ダメ工房」で、昨年の3月から、BSフジ『Beポンキッキ』の1コーナー「もじあるき」を受注、レギュラーで企画・演出しています。また、昨年の9月、京都映画誕生100周年「若手才能育成ラボ」に選考され、「Hands-on "JIDAIGEKI"」のワークショップに参加しました。いろんな経験をしたので、きっと次の仕事へ反映できると信じています。
浅野:演劇の脚本を書いたり、この夏、ndjc2009(文化庁委託事業 若手映画作家育成プロジェクト)に選考され、35mmによる短篇映画を撮りました。ndjcは、短篇jpの参加監督(村松正浩、佐藤克則、真田幹也、田中智章、中野量太)が選考されていますが、この作品をジャンピングボードにしたいものです。
本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
これからのご活躍を楽しみにしております!