
9月13日~15日、京都映画誕生100周年を記念して、
「若手才能育成ラボ」が開催されました。
短篇jpに協力してくださっている大道省一、片岡翔、吉村真悟の3監督が、
書類・作品選考に合格。「Hands-on "JIDAIGEKI"」というワークショップに参加させていただきました。
2作品製作する短篇映画のシナリオコンペで、大道監督の「まちぶせ」、片岡監督の「象煮」が選ばれました。
京都の太秦撮影所で行われたワークショップのレポートを3回に分けて掲載します。
【公式サイト】
http://www.kyoto-berlin.jp/
共催:京都府、ドイツ文化センター、京都文化博物館、大学コンソーシアム京都、東映京都撮影所、松竹京都映画
◆◆◆
9月13日(土)
TVの再放送で見た『必殺』シリーズにハマり、それがキッカケで映像に興味を持ったあげく人生の方向転換をした自分にとって、京都での3日間は大変有意義なものでした。
初日は東映京都と松竹京都映画の両撮影所を見学した後、参加者はHand-on時代劇コースとドキュメンタリーコースに別れて行動。私が参加したHand-on時代劇コースは松竹京都映画撮影所のオープンセットにある長屋と居酒屋を舞台に、プロの監督やスタッフの協力のもと2本の短編時代劇を撮るという内容です。
事前のコンペで居酒屋を舞台にした『まちぶせ』というシナリオが選ばれた私は監督を担当しました。指導に当たるのは『必殺』シリーズの光と影の映像を作り上げたカメラマンであり、監督としても活躍されている石原興氏。期待と緊張が交錯する私に石原監督は一言、「好きに撮ったらええねん」。
そして、自分以外の5人のメンバーがそれぞれ撮影部・照明部・美術部・演出部・製作部の各パートに別れ、プロのスタッフと共に明日の撮影に向けての準備を開始。まずは全員でシナリオを読み直し、何が必要かを確認。
美術的に大きなポイントは居酒屋の内装でした。通常、居酒屋のセットは江戸の町にある事を前提とした装飾ですが、今回のシナリオは寂れた宿場町の居酒屋という設定。「粋な江戸っぽい装飾を外し、色を殺して、ごちゃごちゃと田舎風にしたいです」と撮影所の美術の方にイメージを伝えて話し合い。明日までに飾り変えをお願いすることに。
照明技師の方からは「全編夕景やけど、人への明かりはベタで行く?七部?半分?」と聞かれました。「必殺とか市川崑好きなんですよ。半分は影になってもいいような‥‥えっと逆光が強くて硬い感じで」とミーハー丸出しで答えると、何とその方は市川組の常連、「よっしゃ、わかった。まかしとき!」と快諾。
石原監督からは撮影の心構えから障子や板戸は右が手前など細かい常識まで、早口でアドバイスを受けました。最後に「映画や撮影やいうてもな、結局は遊びやからな、楽しんでやらなあかんぞ!」と言われて解散。
宿舎に戻っても深夜までディスカッションの連続でした。
初対面の6人がチームになっての撮影、最初はみんな手探りで不安や遠慮もありましたが、お互いの作品を観て酒飲んで銭湯に行って一致団結。
撮影は朝の9時から、いやが応でも待ったなし。
【大道省一】

◆◆◆
京都、太秦にある東映撮影所へ集合。
参加者プロフィールを見ると、プロとして活躍されている方や、大作映画の製作に携わっている方、海外で映画を学んでいる方が多く、肩身の狭い思いをする。今回のプロジェクトは、京都文化博物館が主催で、東映・松竹と二大スタジオが協力として携わっており、この上ない豪華なワークショップだ。
東映と松竹のセット内を見学させてもらう。日本を代表する、そうそうたる俳優の名札がついたかつらが並んである部屋や、たくさんの着物が積まれている衣裳部屋、小道具は時代劇に欠かせないものを全て網羅しており、随所に撮影所の歴史を感じさせる。城や大広間など豪華なセットには、いろいろな工夫がある。一番目に付く手前部分を本物の材質にしたり、こだわり、利便性、安全性、コストなど、様々な面から考慮して最善の方法で組み立てられてあるそうだ。
夕方になり、時代劇チーム内で大道さんの「まちぶせ」班と僕の「象煮」班とにチーム分けをする。象煮班は5人、まちぶせ班は6人。自己紹介をする間もなく、撮影場所である長屋に移動する。年季が感じられるオープンセット。いくつかの壁は取り外しができるらしく、利便性も抜群。僕らの講師となる監督は、井上泰治監督。水戸黄門シリーズの監督をしながら、精力的に自身脚本の映画を製作しておられる方だ。初っ端、井上監督から「どうせ他が使ってないんだから、外のセットも自由に使っていいぞ」と驚きの発言を聞く。使えるのは長屋のみ、、、という条件で悩んで書いたのだったが、、、。嬉しい悲鳴をあげるも、別プランを考える暇もなく時は過ぎて行く。今回撮影に手を貸して頂くプロの照明技師、録音部、美術部、助監督さんも紹介され、あたたかい協力を得る。
しかし、進行の方からこの日二度目となる驚きの言葉を聞く。「明日役者さんたちが衣裳もメイクも完了した状態で、9時にインするので、すぐに撮影開始できるように」と。明日は8時半集合。今日与えられている時間は2時間。必要な小道具を揃えるのだけで手いっぱいな状況。メンバーの顔と名前が一致しない状況で、本当に明日朝一で撮影を始めることができるのか、大きな不安に襲われる。あっと言う間にタイムリミット。肝心な「象煮」をどうやって作るかが決まっておらず、帰り道で「味噌煮込みにしよう!」などと相談しながら、宿泊場所となる町屋スタジオへ。夜は参加者それぞれの応募作品紹介。ここでやっと自己紹介を行う。プロジェクターに映される各々の作品は、本人の持つ雰囲気と異なっているものが多く興味深い。それぞれが個性的で、レベルも高く、とても良い刺激を受けた。
【片岡翔】

◆◆◆
ラボ初日の今日は撮影所内を見学し、ラボ期間内に短篇時代劇を制作する「Hands-on 時代劇コース」を選択していた僕は、ラボにシナリオを採用された大道監督「まちぶせ」、もしくは片岡監督「象煮」のどちらのスタッフになるかを選ばなければならなかった。
シナリオを読んでみると、「まちぶせ」は流石、時代劇の好きな大道監督というか、基本的な要素は一通り抑えて、尚且つ殺陣のシーンもあり、応募要項に「チェーンソーでチャンバラやりたい」と書いた僕にはうってつけのように思われた。一方、「象煮」は江戸にやって来た象の糞を煮て食べる…えっ! スカトロ!? 気が付くと僕は片岡組に入っていた。
この一件で僕は自覚した。観るなら別として、作るならやっぱファンタジーが入ってないと駄目だ。ファンタジーという言葉をどう取るかは人それぞれなので説明が難しいのだが、例えば僕の場合はチェーンソーだったり象の糞だったりする。
その後宿泊地となる西陣町屋スタジオへ移動。もう翌朝が撮影なので、脚本を元に深夜に及ぶ打合せ。お風呂は銭湯、大広間で雑魚寝という素晴らしい環境のため、嫌でも結束感、期待感は高まる。
【吉村真悟】