短篇jpルーキーズ第3弾、企画講評。
19名の監督からいただいた企画(プロット/シノプシス)に対するプロデューサーたちからのコメントです。
製作作品決定は、しばらく時間がかかりそうです。
候補作の監督には、ご質問やご相談の連絡が入るかもしれません。
よろしくお願いいたします。
※監督名をクリックすると、NTTの動画共有サイトClipLifeで、
過去作品や予告編が視聴できます。
『アナーキーインザジャパン』監督:宇賀那健一
・登場人物の書き間違えが多いです。勢いで観客を惹きつけたいならば、もっと主人公のキャラクターの魅力を掘り下げておきたい。(福永)
・荒唐無稽な話ですね。主人公のキャラクターに、私は馴染めませんでした。(平田)
・一郎や板垣に共感ができない。でもなんとなくパワーは感じます。(淵上)
・「お話」がない。オチのために、偶然を積み重ねているだけに感じた。(本田)
・そもそもコンセプトの立て方が理屈っぽく、どれだけ派手な描写を取り入れてもドラマティックな表現に結びつきにくい。(岡田)
『世界で一番、青いキミ』監督:勝又悠
・美咲がなぜ小宮山を好きなのか、肝心なモチベーションの部分が欠けている。恋愛とは他人にとってはどうでもよいこと、それは観客にとっても同じこと。時系列だけでなく、共感を埋められるシーンを描こう。(福永)
・ちょっと読んでいて恥ずかしい気持ちになりました。照れくさかったです。(平田)
・会話と演技次第か。もう少し、二人が接近するかしないかのストーリーワークがあればもっと良いかも。
・青いというより、未成熟な感じ。きゅんとさせたい映画は、創り手が成熟していて欲しい。(本田)
・片思いに徹しているところは好感が持てる。演出次第では情感あふれる映画になるかも知れない。(岡田)
『ポイズン山田のディープナイトジャパン!』監督:夏目大一朗
・警備員がなぜトイレで襲わなかったのか?なぜ脅迫状を先に送ったのか?どんでん返しを作るには、極力矛盾を消す作業が重要。臓器移植にはドナーとレシピエントとの間に適合検査が必要となる。事実とのつじつまが合うようにまず検証してから書く癖をつけた方がよいと思う。(福永)
・テンポ良く撮れれば面白い。(平田)
・面白い。短篇としても成立する設定だと思います。(淵上)
・映画的に辻褄の合わない部分があるが、四畳半的なストーリーではないので、興味が持てた。(本田)
・人物の造形に無理がない。今回いちばんプロットの形を成していて、映画になりやすいと思う。(岡田)
『ジャンプする人』監督:小田学
・ついているという割には月並みな運に終始しており、面白みに欠ける。それぞれのキャラクターも描ききれないままに展開していっているために、共感しづらい気がします。まず人間を描こう。(福永)
・こういうノリは好きです。是非、作ってください。(平田)
・オチを工夫してみては。けれど、あっけなくて逆に良いという見方もできそう。(淵上)
・友人は「説明」のためにだけ登場するのだから、不必要? ほんとは3ヶ月間の話かも。うまく演出して、二人の馬鹿馬鹿しい話にして欲しい。(本田)
・シンプルかつ説得力のある構成なので、うまくアクションをつければ映画化に耐えうる内容だと思う。(岡田)
『ゴメンナサイが言えなくて(仮)』監督:真田幹也
・男と女の間で「嘘」を主題に据えるのであるなら、もっと互いの腹の探り合い、騙し合い、読み合いといったゲーム感覚を加えて欲しい。セリフに対する単なる真実のインサートだけでは、観客は拍子抜けしてしまう。(福永)
・話は良くあるものですが。まとまっていると思います。観てみたくなりました。(平田)
・短篇として成立しそう。だけれど、嘘と現実のギャップのパターンがありがちなので、もう少し知恵を絞って工夫してみたらどうか。(淵上)
・2分くらいなら成立するかもしれないが、もっと大きな「嘘」で超えて欲しかった。(本田)
・「台詞と反する映像」をたたみかけても大した効果は出ない。小手先ではないドラマ性の構築を。(岡田)
『復路(仮)』監督:渡辺賢一
・プロット段階でロケーションを限定しない方がいいと思う。世界観を広げられる遊び(余裕)を持たせておきたい。珍妙な友人二人の掛け合いは面白いなと思った。(福永)
・アイデアは面白いですが、もっと。たたみかけるようなテンポで財布を捜す話の方が二人の関係が明確になるのでは?(平田)
・ジンジンとガンジーのキャラクターと演技次第になってしまいそう。(淵上)
・雰囲気はわかるが、お話が見えてこない。書きながら考えている感じ。自主映画なら、これでよいのかもしれないけれど…。(本田)
・映画の骨格よりも、人物のコミュニケーション形式の方に関心が払われているのが気になる。軽めのタッチは悪くないが。(岡田)
『ふみきり喫茶』監督:藤橋誠
・演出家が設定に酔っていてはいけない。客観的にみれば、各々がばらばらに動いていることが判るはず。過去が一人歩きしているため、最後の日のリアリティさに欠けるので、登場人物をもっと絞って、過去と現在を結びつけたい。(福永)
・何がテーマなのか、焦点がぼやけているように感じました。(平田)
・イイ話で、雰囲気もある作品になると思うが、短篇で、ここまでの人間模様が描けるか。(淵上)
・設定と登場人物を思いついて、一仕事を終えた印象。強引な設定だけに、人のごろんとした感情を観たい。(本田)
・場面作りが上手なので映画にはなりうる。ただし、設定をごたごた説明する羽目に陥らないよう注意すべき。(岡田)
『未知なる道』監督:松本卓也
・ジュブナイルなバンド映画の良し悪しは、音楽のセンスの比重がものをいう。ロード・ムービーにありがちなダラダラした会話劇だけに依存せず、彼女たちの音楽を感情の起伏表現として上手く絡めながら、迷走するバンドをゴールへと導びいていって欲しい。(福永)
・話の途中で気づいたら、自分たちの故郷だったという設定には無理があるように思いました。(平田)
・故郷の風景に気づかないという設定に無理はなさすぎないでしょうか。物語として成立する他のラストのエピソードに変えるなど工夫してみてはどうか。(淵上)
・都合のよいきっかけで、まとめると弱くなる。10分では表現しづらい企画かもしれません。(本田)
・設定は悪くないがドラマが弱い。「飽きさせない工夫」とあるが、撮影上の「工夫」以前に文字の上でやることがあるはず。(岡田)
『希望、髪結いの亭主(仮)』 監督:押木大輔
・誰しもに共通する「髪結い処」へのイメージ。それを企画意図としたのには、面白みを感じたが、ストーリーが凡庸過ぎる。リスタートする者への応援歌としての力強さをもっと感じさせて欲しい。力づくで笑いから落とし込むより、温かさでまとめた方が良い様に感じた。(福永)
・春というテーマの初々しさは残念ながら伝わってこないです。(平田)
・オチは予想できすぎだけれど、イイ話だと思う。香織がどう判断するかはさておき、ラストが良いなと思う。(淵上)
・ラストへ強引なお芝居(とはいえ予定調和)でもっていくのでは、いい話もコントになってしまいそうな気がしました。(本田)
・静の部分と動の部分を無理なく結び付けられれば、短篇映画としての収まりはいいと思う。若い女性の散髪屋はやや考えにくいか。(岡田)
『八百万の言葉』監督:宇野澤宣行
・前半は惹きつけるものがあるけれど、ずっと同じ流れのために途中から締まりが無くなってしまった感が否めない。メリハリの効いたテンポ感から、転調を用意しよう。(福永)
・神様のキャラをもう少し整理して、話を進めた方が面白いのでは?(平田)
・神様同士の会話の演出とキャラクター次第。(淵上)
・人間と神様の行動とセリフが一律なので、飽きてしまいました。(本田)
・登場人物をにぎやかにすればにぎやかな映画になるわけではない。画面としての面白さに結びつきにくいだろう。(岡田)
『After School Love Shuffle』監督:鈴木龍
・プロットが書き切れておらず、人物の動きもギクシャクしている。それぞれの行動を縦軸に書き分けながら、上手に交錯させてみては。(福永)
・登場人物の動きにはハラハラさせられますが、主人公の「好き」という感情は、このままだと伝わってこない。(平田)
・すがすがしくて面白い。ラスト9のマイちゃんの笑顔がみてみたい。(淵上)
・企画は有名な映画を寸借、手法は有名映像作家のPVを引用…この企画意図では、先を読む気が薄れます。オリジナルには勝てないです。(本田)
・軽めの学園ラブコメの体裁はできているがドラマは上滑り気味。笑いの中にもエモーションが必要。「企画意図」は読むに堪えない。(岡田)
『よし子の詩集』監督:阿部理沙
・何気ない日常とキャラクターの豊かな家族の肖像は面白いと思う。情緒的なインサートショットを推敲しよう。ユーモアのあるペーソスで味付け出来るか、空回りするか、大きく枝分かれしそうな気がする。(福永)
・主人公の魅力が、今ひとつ伝わってきません。(平田)
・よし子の感情や動機を視聴者に伝えきれるかどうか。(淵上)
・地味。けだるい。しかし、プロットには描ききれていない、よし子の詩に秘密があるような気がしてきました。(本田)
・倦怠した家族の描写は悪くない。ただしよし子が「わたしの詩集」を街で売るほどの動機が見えない。(岡田)
『Dear Next Life』監督:耳井啓明
・ストーリーの流れとしては、面白くなりそう。ただキレがいまいち悪いので、短編にあったテンポ感を大切に。母親の合いの手や、健太のツッコミなど、コントの要領で練ってみよう。ご前世様のキャラ設定もよく考えた上で、セリフ回しに気をつけて。(福永)
・舞台で表現した方が良いと思いました。(平田)
・ちょっとありがちなネタな気がするが、面白い。(淵上)
・高校の3者面談である必要があるのか? 女の出現に意味があるのか? 再構成が必要。(本田)
・どの人物もベクトルが記号的なので説得力が薄い。このオチはさすがに平凡か。(岡田)
『美味しいコーヒー』監督:真壁幸紀
・それぞれの想いと人との間に距離がある分、感情移入出来る要素も弱いような気がした。薫が植木鉢に鍵を隠すのにも何か違和感を感じる。常識的にみて、今どきの女性がその様な行動を取るのは無理があるのではないか。(福永)
・オチがちょっと弱いかな、設定は面白いです。(平田)
・ほのぼのして面白いと思う。(淵上)
・前段の片思いの話を無理に繋げない方が面白くなりそうです。(本田)
・女の不在中に男が3人もやってくるという設定には興味が持てる。沙織の使い方をもうちょっと工夫すべき。(岡田)
『架空の恋人(仮)』監督:瀬川浩志
・最初から妄想とバラさず、二人の聡をもっと巧妙に使い分けて、現実と妄想の狭間で観客を惑わす仕掛けがあって、彼をゲット出来ればもっと面白くなるのでは。(福永)
・環が覗き見しているシーンまではテンポよく進みますが、このテンポだとエンディングが尻切れトンボになってしまうと思います。(平田)
・話は面白いと思う。どうやって映像として表現できるかどうか。(淵上)
・設定は発展できそうな気がしますが、結末が曖昧なので、なんとも…(本田)
・生々しい恋愛描写のわりに、登場人物のあり方が観念的で記号的。(岡田)
『ゴッホルーム(仮)』監督:小鶴
・設定ありきで書き上げてしまったような、強引さを感じた。この様な作品は普通にやっては駄目。想像を裏切る類まれなる創造力を発揮しなくてはいけない。(福永)
・キャラクターの濃い人物が多く登場するので、短編にまとめるのは大変そうです。(平田)
・感情やキャラクターが複雑で、短篇では成立が難しいのではないか。(淵上)
・素材が流行ものとか話題になっているものばかりで、オリジナルが見えない。会話劇としても単調。そもそも、隣人とコミュニケーションができないので死を選ぶ、というのは無理があるのではないでしょうか?(本田)
・「キャラクター」作りに頼りすぎている。そして、自分の発想に酔いすぎている。(岡田)
『仙人』監督:吉村真悟
・ラストの落ちが分かりづらい。せっかくうまい具合に素子を目覚めさせたのに、どこか尻切れトンボの印象。どんでんなら、もうひと工夫、素子押しで完結させて欲しいところ。(福永)
・ファンタジーのジャンルは短編向きだと思いますが…(平田)
・面白いと思う。けれども、ラストはあれで良いかどうか。(淵上)
・もっとシンプルになるはず。10分を超えそう。すべてが偶然の連鎖に思えてしまうのが弱点か?(本田)
・一応プロットの形にはなっているが、こういう寓話性の高い題材が映画向きかどうかは分からない。(岡田)
『Reform』監督:鵜戸庚司
・現代社会を紐解き、映像手法で表現してみせるのは、映像作家としての醍醐味であるが、まずそれを柔軟な形で誰しもに解らしめられるのが、優れた演出家だと理解して欲しい。個性のない登場人物だらけで描き分けられておらず、何を語りたいのかも伝わってこなかった。(福永)
・うーん。スタイリュッシュな短編を目指しているとは思うのですが、このプロットだけでは私にはイメージできないです。(平田)
・観念的で、視聴者に伝わりにくいのではないか。(淵上)
・オムニバスを家に喩えたのかもしれないが、肝心のストリーラインが不透明。登場人物も記号的なので、映画になる気配を感じなかった。(本田)
・観念的で押し付けがましい。もしこのテーマを真摯に考えているなら、映画ではなくこうした場所を実際に築く努力をすべきでは。(岡田)
『キッスがしたい(仮)』監督:浅野晋康
・企画意図で述べられている様なタイムバウンド現象を主題とする作品群とは微妙にずれている気がする。語りで表現される他人の過去ほど退屈なものはない。10年ぶりに目覚めた“心は少年の男性”に濃厚なキスを迫るなど、初恋の彼への想いが置き去りにされている点が気になる。(福永)
・14歳の未来と杉田の話から展開した方が面白いのでは?(平田)
・ラストのキスのエピソードにうまく繋げられていないように感じます。(淵上)
・須川が機能していない。だとしたら、未来と杉田のお話に徹してはどうだろうか? 偶然、同席した女の方を活かすとか…(本田)
・もっとコンセプトを整理したほうがいい。映画にした時に、どうしても説明的になってしまう。(岡田)
【選考メンバー】
福永雄大(映像プロデューサー)
平田樹彦(映画プロデューサー)
淵上英敏(コンテンツプロデューサー)
本田昌広(映像ディレクター&プロデューサー)
岡田秀則(映画研究者)

