『夕凪』(その1)
『夕凪』
監督:安里麻里 脚本:南川要一
撮影日 2006/6/2
クランクイン 8:00 横浜市中区柏葉
クランクアップ 24:30 横浜市中区柏葉
「1日で撮影出来る話を考えてください」
One Day Movieを企画するにあたって、何人もの監督に最初にお願いしてきたこと。これまた難しいお願いだ。1日で撮影出来ればどんな内容でもいいのか?いや、やるならば面白いものを作りたい。安里麻里監督と仕事をするのはこれで3回目。初長編作品『独立少女紅蓮隊』は“女タランティーノ”と称された、アクションの撮れる数少ない女性監督の一人である。しかし、今回はアクションではなく、新しいことに挑戦したい、と思った。
最初に監督からあがってきたプロットは、ラース・フォン・トリアーのキングダムなのかデヴィッド・リンチなのか、黒々としたものが渦巻く老いた悲しい男の話だった。不気味な物語で面白いのだが、企画:本田昌広からストップがかかる。
『短篇jp』を観る方々にとって何が面白いのか、どういったことにチャレンジできるのか……。プロデューサーと監督、私とでディスカッションを重ねる。
そして決まったのが『夕凪』。
物語より画面や構成を重視する安里監督にとって、初めて挑戦する分野だ。
主人公は11歳の少女。この少女を誰が演じるかによって、物語は大きく左右される。真っ先に福田麻由子さんの名が挙がった。両親の事情によって起こる、ある忘れられない1日。複雑な心境を1日という短い時間で演じるには、相当の演技力、集中力を要する。忙しいこと承知で福田さんの事務所にご連絡。そして快諾していただく。戸田昌宏さん、森田亜紀さんも監督からのたっての希望で決定。鈴木励和くんは、何人かの方に会った中で一番自然な無邪気さを持っており、福田さん演じるあずさとは対照的な存在としてぴったりだった。
出演者は決まった。しかし、この物語をどうやって1日にまとめて撮影出来るだろうか?撮影場所は『お別れのバラード』『バリガー』で大活躍をした(『お別れのバラード』では様々な仕事を兼ねてました)の制作:安井聡子が探してくる。マンションは横浜にあり、その周辺には変化に富んだ風景がいくつもあった。少ない移動でいくつものシーンが撮影出来る!と喜んでいたのだが、直前まで、本当に1日で撮影が出来るのか??と疑問があった……。